2015年の出来事を振り返る:会社生活編

「お疲れさまです!」社内のエレベーターホールで、しっかりとした覇気の感じられる挨拶。意外や意外、すれ違いざまに私に向けてかけられたものでした。声につられて振り返ると、見覚えのある顔。知り合いの顔だと認識するまで、0.2〜0.3秒は要したかもしれない。わずか数ヶ月ぶりの再会だけど、およそ2週間の出張先でともに仕事をした彼の笑顔がとても懐かしくてなんだか不思議と嬉しかった。彼は今年入社したばかり、私とは20歳も離れた我が子のような後輩社員。「元気〜?!」と声をかけると、自称草食系男子を絵に描いたような相変わらずの少年のような細身のシルエットと顔立ち、両手にパソコンやら文房具を持ったまま微笑んでうなづく。確か出張先では、地元の派遣社員に好かれて出張勤務最終日に東京案内を口実に電話番号を聞かれたりコーヒーをプレゼントされたと教えてくれたっけ。聞かれたことに誤魔化すことなく真面目に答える素直さがまだ学生っぽいというか、人を疑ったり疎ましく思う心の疲弊感が見えない様子が新鮮で。私が普段いるのは平均年齢54歳の職場だから余計にそう感じるのかも。新入社員との交流なんて一体どれくらいぶりだったか。「どこに行くの?」との咄嗟の問いかけにも必要以上に丁寧に答えてくれるところも私の記憶にある彼らしく。それじゃあ急いでいるかな?と思って「ではまた」と切り出して別れたかは定かではありませんが、懐かしい顔との再会を数秒で切り上げたあと、今年のあの約2週間の出張を思い返すこととなりました。
職場から1名の応援要請での出張期間はおよそ2週間。帰宅手当も出ないとなると、なかなかの荷物と諸準備が必要なのですが、前々月に仮要請はあったものの、正式な要請があったのはなんと出発2営業日前。他の同等職のメンバー、もちろん女性の彼女たちからすると、この応援業務の割り当てはどんな貧乏くじ感なのか、必要以上に上位職女子社員に謝られて、まるでどえらい悲惨な状況に運悪く送りこまれるかのような謝罪メインの見送りが嫌がらせのように思えてすっかり気分を害した私。体に気をつけて…とかには答えようがあるけれど、本当にすみません…って言われて単に与えられたミッションと受け止めている私としては何て返せばいいのかと。私の友達の中には、他社ですが出張を繰り返す会社生活を送っている女子もいて、そんな彼女の働きぶりはカッコいいなと感じていたので、2週間の出張を命じられて任されて少し誇らしい気持ちにもなったのだけど、やたらとすみませんと謝ってくる上位職女子社員の態度でテンション急降下…。後日談ですが、2週間の出張から戻ってその彼女とお話しした際に、休日をどう過ごしていたかと聞かれたのですよ。いくつかの出来事のうち一番無難な「喫茶店で仕事関連の本を一気に読んで過ごした」ことを伝えると、「やだーーー!そんな休日やだーーー!」と否定2回&大笑いされまして、悪気なかったとしても結果的に侮辱された感じだよ…。言葉を失い、この人とはできる限り関わり合わないようにしようと静かに決意。なぜなら、普段から少し気になっていた子供っぽい彼女の受け答え、上司への舌足らず気味なタメ口での応答、それに加えて今回の出張前後のこのやりとり、彼女との明るい未来は見えない。同僚に嫌悪感いっぱいになるのは真っ平御免なので。話を元に戻して、ANAで羽田から応援対策本部のある都市までひとっ飛び。当該部署に到着すると、若手からベテランまでの男性社員と妙齢の女子社員が10数名集められており、即日チームが編成されて応援業務スタートです。私たちと入れ替えで応援を終えて戻る先発メンバーから簡単に短時間で引き継ぎらしきものを終えたらもう実践。まぁなんとかなると言うか、なんとでもなる業務を任されたと言うべきか。土曜祝日返上で2週間ちょっと、与えられた業務を無事に乗り切り。応援派遣された部屋には総勢100名弱程度の人員が詰め込まれていて、中には長期出張している助っ人名人みたいなOBもいて、恐る恐る質問すると快く対応してくれる。ナイスおじいちゃん!私は下戸なので、終業後の酒飲みに誘われるのはちょっと困ったけれど、この対策本部では現役の役職にある社員よりもはるかに大活躍の百戦錬磨なおじいちゃんたちとの交流も貴重な経験で楽しかった。最重要ポイントであるホテル暮らしも快適で、普段よりも健康的な規則正しい生活を送り、慣れない6連勤も私は問題なく。あれですね、男性の方が環境適応能力が劣るのか、発熱者続出な。私は休日も本を読む以外にも水がキレイなところまでひとりでそっと遠出をしてどこを歩いても聞こえてくる湧き水が流れる音とマイナスイオンに包まれてものすごく心も身体も癒されたり、ホテルの近場の見事なお城を観光してみたり。

普段よりもたくさん歩いていい空気をたくさん吸って過ごしたりしておりました。本当にいいところだったなぁ。強いて言えば髪を切りたくなって困ったくらい。いや、違う。普段から年齢不詳…と言われる私ですが、応援派遣の同じチームのメンバーから何歳なのか…と聞かれて、言うつもりもなかったので、出張最終日に教えますと回避したのです。ところがまったく回避できていなくて、事あるごとに最終日に教えてくれるんだよねーみたいな確認が入って余計面倒なことになって、最後の最後まで追及されて大失敗だったのですが。冒頭の新入社員の彼が、こちらは聞いてもいないのに実年齢より17歳も若く推定年齢をあげてくれたことで、実年齢の公表がしづらくなり現地でお別れの瞬間まで断固回答拒否をし続けたという…。それが最もしんどかったような。今となっては笑える。
今年2015年365日のたった14日だったけれど、私の短い会社生活(中途入社なもので)の中で最も思い出深い仕事のひとつになるはず。そこを訪れることは二度とないように思うけれど、何年もそこで暮らしたかのようにその場所を自慢に思うし大好きな街だと公言し続けるように思います。