2月文楽『義経千本桜』鑑賞


4月半ばにさしかかりましたが、2月のあれこれ、第3弾。
初めての体験、文楽鑑賞のこと、遠くなりつつある記憶で記録です。
1度機会があればと思っていた文楽、日本史の勉強の中で日本の伝統芸能だとわかっていても、なぜか人形浄瑠璃だけお目にかかる機会がまったくありませんでした。歌舞伎や狂言はちょっとテレビで観たり。文楽、人気が…あまりない?大阪では、助成金が打ち切られたりとか。なんとなく、文楽の存在が気になっていて、ついぞ重い腰をあげたのでした。文楽はどこで観ることができるのだろう?という疑問から検索したところ、東京の国立劇場でも年に数回鑑賞できるチャンスがあることを知り、今年の2月の演目が発表されていたのでチェックしたところ、1日に公演は3部あって、それぞれチケットが必要。第3部の「義経千本桜」なら入りやすそうだなと。国立劇場の小劇場は客席500人規模、2/6〜2/22の毎日公演はあるけれど、行きたい土曜日は限られているのでもしかすると激戦…?という初心者不安もあり、前売りチケットが購入できる会員登録を前もって済ませ、発売初日に購入することにしました。発売日当日は、オープンになる10時、お目当の日程公演で、もっともリーズナブルな3等席を選ぼうとしたところ、選べなーい!既に満席なのです。気持ちを切り替え、ならば、うんっとお高い1等席、とにかく、前!前!と探すと、上手最前列がぽつんと一席空いており、散々迷ってそちらを購入。初めてなので、良いのか悪いのかもわからず。ただ、次第に席が埋まっていく様子を目の当たりにして、文楽人気を実感です。2月公演は、第2部が人間国宝豊竹嶋大夫さんの引退披露狂言狂言???で、そちらがとにかく大人気。3公演の中では控えめな義経千本桜ですが、心待ちにし続けてようやく公演当日。
かなり早く、半蔵門にある国立劇場小劇場に到着。早速チケットを自動発券し、会場内にあるらしい喫茶にでも…と入ろうとしたら、入場できず。公演20分前から入場なのだと。1時間以上も時間を持て余すことになり…。
ひとまず、今日は満員御礼公演!発売日初日に購入した甲斐があったってもんです。ここでウロウロしようもないので、駅まで戻ることにしました。駅前にカフェがあったので、そこに行ってみようと。カフェの名は、麹町カフェ。
お昼時は過ぎていたのですんなり入店でき、せっかくなのでスペシャルなメニューをいただくことにします。
ふだんなら食べることない、パフェ。記念すべき文楽鑑賞デビューなので、思い切りました。甘いものは得意ではないのですが…。到着するあいだも、窓側のまったりできる席で、ぼんやりとカフェ感を味わいました。
到着!ショコラのヌガーグラッセとイチゴのパフェ。イチゴとチョコの最強の組み合わせ〜。チョコ苦手ですが、この組み合わせは私にとって特別なのです。こういうビジュアルをいただくのは久々でテンションは上昇、完食!
公演時間間近まで麹町カフェでのんびりして、再び国立劇場小劇場へ。ちょうど2部のお客さんたちが退場するところで、出入口の前は人だかり。並ぶでもなく…ちょっと不安。待っていた場所取りがたまたま良くて、スムーズに入場できずに文句を叫ぶおじさまおばさまを尻目に、すいーっと入場、一目散にパンフレット列を見つけて購入したあとは、くるりと向きを変えてガイダンスイヤホンレンタル列に。ここが少々時間がかかりましたが、デビューに必要なツールをすべて整えて座席へ、いざ。
最前列なので、舞台の上はまずまずよく見えますが、床とよばれる大夫さんや三味線さんの席はほぼ無理。見上げてまでせず、声や音色を耳で満喫することにします。パンフレットを読み込んで、公演開始、ドキドキ。イヤホンからは何も聴こえず…そのうち?うーん?と開始数十分、借りたことに意味があるのかしら?くらいに思って、ふいに本体をもちあげるた、途端に音声が〜!そう、私、座席に置いていたのですが、これだと電波が入らなかったようなのです。イヤホンガイドの本体は、面倒でも膝の上とか手で持つ必要があるのだと。途中で気づいて良かったわ。ガイダンス、良かったですよ、オススメです。肝心の舞台はと言いますと、人形が意外に大きいことに驚き。手でパクパクみたいなものを想像していたわけでもありませんが、大人のおじさま3人が一体の人形を操るわけで、もう、なんと言いますか、それはそれは一大事なのです。見入ってしまいますよ。口開けて。そして大夫さんの声色使いわけた語り、生三味線。知らず知らずに引き込まれました。天皇が海に入水する場面があるのですが、人形でも天皇ですから、地べたを歩かせたりしないわけです。お局の人形が海に向かって白い布を敷くわけなんです。語りや三味線も厳かになる。会場もシーンとします。また、人形が巨大な碇を抱えて海に身を投じるシーン、拍手喝采ですもん。
そして休憩時間。席を外す人も多い。私の隣は、若干バブル後のまだ今よりも景気が良かった頃のままの出で立ちのご婦人二人連れですが、しょっちゅうこそこそおしゃべり。舞台の方を向くと嫌でも視界に入るのでちょっと気になりますが、席取り失敗ということで堪えるしかなく。休憩時間になると、目の前に置いていた京王百貨店のどでかい紙袋を座席の下に潜り込ませ、びゅーんと去って行きました。あぁ、これでこのまま一息つけるわ…とおもむろに始まった緞帳紹介。
綴錦織というのだそう。まったくわからなくても、あぁ素敵な織物だなぁと、アナウンスに耳を貸して緞帳撮影。
全3点の紹介でした。日本を代表する自動車会社、クレジットカード会社、ゼネコン社等共同による寄贈なのでした。決してお安くはないであろうに!と感心してみたり。
そして、こちら。私の頭上に床があるのですが、数名の方がこちらを熱心に撮影なさる。大夫さんが台本を置く台のようなのですが、こちらに興味津々なお客さんも数名いらしたということで、頭上をパシャリ。標的を誤っていたら申し訳ないです。
さて、休憩後の後半が始まるとなり、席に隣のご婦人らが戻ってきて、さきほど座席下に一旦収納した京王百貨店のどでかい紙袋を一気に引っ張りだしました。ええ、一気に。どでかい紙袋です。当然、私の席の下にも一部はみ出ています。それをこともあろうか、一気に引っ張りだしました。何度でも言います。紙袋の角っこ、時に凶器です。私のちょっと早めの素足に、ガリガリ!っと来ました。痛えよこらっ!!!声も出ず。思わず足を蹴り上げましたが、ババ…ご婦人はまるで気付く気配なし。…嫌な予感がする。まもなく後半の公演が始まりますと、現れた静御前。←知ってる!と急下降したテンションももどり、静御前と狐が延々と踊る…といういささか厳しい内容に突入。後半開始早々に隣のご婦人が向こう隣のご婦人に耳打ちでささやき始めました。静御前と狐が踊る静かな場面になっても止まらず、おいおいそんなでかいささやき声で話しまくって、どんだけの話ししてんだよ、いつまで話してんだよ、あっちの人がこっちを覗き込んでるけど、本当にそんなでかいささやきでいつまで話し続けんだ〜!と何度も心の中で話しかけたくらいの、あり得ない非常識ぶりを発揮してくださったおかげでまったく眠気との格闘の心配なし。しかし、いるのですね、私語し続ける人。何しに来たのでしょう。そんな私の文楽デビューでしたが、早速5月に第2弾。文楽鑑賞教室という、ややお手頃価格の公演があるのですが、チケット争奪激戦でなんとか獲得し、巨匠近松門左衛門先生作の曽根崎心中を鑑賞することができそうです。次回はもう少しまともな感想を書けるとよいのですが…。