映画「秘密 THE TOP SECRET」鑑賞

夏休み活動第一弾で、「秘密 THE TOP SECRET」初日舞台挨拶生中継付上映を観てきました。丸の内ピカデリーの初日舞台挨拶付鑑賞券の抽選が外れてしまって、ならば自宅から近い映画館で、しかも福利厚生利用でチケット代が1,200円という絶好の機会であったので、数ヶ月ぶりのロードショー鑑賞。生田斗真くんは以前から気になる俳優さんでしたが、出演作品を最初から最後まできっちり観たことってなかったのではなかろうか…。気になるきっかけもバラエティ番組でのちょっとした発言。まだ少年だった斗真くん、あなたにとって至福の瞬間は?という趣旨の質問だったと思うのですが、彼はフリップで、二度寝、って答えた。アイドルらしからぬところも良かったし、あぁ!わかるっ!!!とすごく共感して以来、十数年来のにわかファン。
本作、先日職場の同僚とランチしているときに話題になって、マンガが原作だと教えてもらい。その作者の女性漫画家さんが他にどのような作品を描かれているか聞いたのですが、難解。SF、近未来の話?というところで話題が変わり、その後時間もなく、結局本作に関する情報がないままの鑑賞となりました。
ネタバレしないレベルの感想ですと、いやいや、斗真くんも岡田くんもスタイリッシュで。クールビズな働き人ばかり見ているから、あぁいうレトロなかっちり決めたスーツ姿は憧れますよ。しかもイケメンでしょ。


斗真くんは前髪を下ろしていてなんとなく子供っぽい印象、岡田くんの後頭部はワカメちゃん刈り上げラインまでスッキリとして前髪も上げて知的でデキる男の印象。この時点では岡田くんに軍配があがる感じ。話はとにかくヘビー。現代の病める事件がてんこ盛り。あと、ちょっとグロテスク。普段からアメリカの殺人事件捜査系ドラマとか観ている人には見過ごせるレベルかな。それと、性的タブーな話がNGの人には途中キツイかもしれない。ホラー的な演出も出てきます。…な割には、なぜか終盤以降が民放ゴールデンタイムでもOKなレベルにガラッと変わる感じ。そこの切り替わりに違和感。何でしょうか、テレビ放映時に編集しやすいような配慮をしたのかしら?
そして、上映後の舞台挨拶のこと。舞台に出るまでの裏での様子から生中継が流れて、登壇メンバーの仲の良さが伝わってきました。斗真くんは主演、座長だからなのか、一生懸命盛り上げようと尽くしてる姿が好感高く。そして、役柄からはかけ離れすぎの岡田くん、岡田くんにお兄さん風を吹かせている松坂桃李くん。この構図が良いし、気の良さそうな大森さんの存在もアクセント。女性陣は大人しめ…衣装は別として、栗山さんは凛としていて、物語の鍵を握る絹子役の織田ちゃんも頼りなさげで初々しいことこのうえない、いいバランス。
舞台挨拶は全般的にジャンケンに終始してしまった感が拭えず、ピカデリーの皆さんはきっと大ブーイングだったことでしょう…。斗真くんや松坂くんが仕切りに全国の劇場のみなさん〜と意識して呼びかけてくれたので、私たちは大満足なのです、ごめんね。
土曜日の朝にしては早めの時間帯で、広島の平和式典もそうだし、今回はリオオリンピックの開会式と被ってしまったり、巷ではポケモンGOが大流行りで、今彼らの舞台挨拶を観ている我々がそこより本作を優先したことを感謝する斗真くん。あれはリップサービスではなく本音だよね。映画を見に行くって、かつては一大イベントだったのが、最近はお手軽になり過ぎていて、上映期間を意識する必要性がどんどん薄まってきて。3Dとか4Dとか趣向を凝らしているところもそれほど魅力に感じなくて。でも、行ってみると面白さも伝わってくるものも家で観るよりずっと大きいよね。大画面でサウンドも迫力あるし、なにより2時間ひたすら集中できる。

ここからはあらすじネタバレ!






いきなりの結末ですが、第9に退職届を出した岡田くん演じる青木に斗真くん演じる薪が手渡したUSB。それを帰宅後に観た岡田くんが、世の中は捨てたものではない、って意識が戻らず寝たきりのお父さんの手を握って嗚咽して終わりました…と、正確にはそのあとに青木が見たらしき映像が流れます。それは、絹子が直接手を下さずに殺した全盲の幼なじみの少年の介助犬ゴールデンレトリバーの記憶で、幸せな日常の中で高校生の絹子が心からの笑顔をその犬に向けているというもの。青木にとって絹子は性や殺人に快楽を得る理解不能な異常犯罪者で、天職とも思える捜査官の職務を辞す決断に至るきっかけになった人物。絹子の異常性はいつからで何がきっかけであったのかは映画の中で明かされないまま絶命してしまったけれど、その犬の脳に残っていた記憶の映像化シーンでは、少なくとも制服姿の絹子からは純粋さを演じてる様子も異常性がうかがえる様子も見られず、青木は救われたのかなぁ…というところなのでしょうか?
薪も持病的な首の包帯?が取れて快復、正式に発足した第9を変わらずに牽引していくのでしょう。松坂桃李演じる鈴木を正当防衛で撃ち、殺してしまったという負い目も、鈴木が薪との友情や薪の第9にかける思いを大切にするからこそ浮かんだ死ぬ間際の幻覚を見られたことですっかりと晴れたのでしょうか。最後はみんな救われて明るい雰囲気で終わったけれど、冒頭の婦女暴行の被害状況を説明するセリフから、もうどんより…。これが実際にあることなのかと考えが及びそうになった時点で拒否反応が出そうになり。そこは長く続かずシーンが変わるから持ちこたえるけれど、全編を家で観るかというとちょっと厳しい。たぶん、逃げちゃう。映画館という空間に居るから向き合える映画です。
観終わった後でこちらのポスターを見たのですが、9人が持つ秘密。これ、すべてわかります?斗真くん演じる薪の秘密は、第9の捜査官自殺というのが実は松坂くん演じる鈴木の凶行と自分の正当防衛による発砲だったということ?松坂くん演じる鈴木の秘密は、吉川晃司演じる貝沼の連続殺人の原因が薪だということ、これは間違いない。岡田くん演じる青木の秘密、これは何だろう?薪が話していた、青木家惨殺事件のこと?大森さん演じる眞鍋の秘密は、現場遺留品の窃盗癖でしょう。
栗山さん演じる三好の秘密は、これは難しくない?私としては、かつての恋人鈴木を撃った薪を今は愛しているということなのかしら?と、あなたまで失ったら、というセリフから読んでみた。椎名桔平演じる溝口教授の秘密は長女絹子と関係を持ち、さらに絹子が殺人犯であることを知りながら自分が罪を被ったこと、リリーフランキー演じる斎藤医師の秘密は、、、なにからなにまで怪し過ぎますが、結局モルヒネを絹子に渡したのは斎藤医師なのかな?吉川晃司演じる貝沼の秘密は、28人(死刑執行後の皆既日食集団自殺も彼ということになるからさらに多い)連続殺人の原因が薪であったということ?、鈴木と同じ…?絹子の秘密で明らかになったのは、家族惨殺、幼なじみの少年の殺人、記憶喪失偽装とか父親との関係とか細かいところもあげるとキリがないけれど、どの時点で異常性が表れたのかはわからないままでした。
誰にでも秘密はあるわけで、解明の名目で死後に脳を覗き込むのって倫理的問題の議論になるとは思うけれど、凶悪事件の解決につながるなんて良いこともあったり、薪が会見で発言したように、コストダウンは間違いない。映画は死者に限られていたけれど、生きてる者だったら…?そこのところも考えさせられたりで、本当にお腹いっぱいになる映画でした。