映画「シーモアさんと、大人のための人生入門」鑑賞

久々の日記は、シン・ゴジラ以来のロードショー鑑賞の感想です。金曜日の夜でだいぶ疲れが溜まっていたけれど、評判を読んで、心を浄化させたくて上映開始ギリギリ、シネスイッチ銀座に駆け込みセーフ。
金曜日レディースデーのせいかほぼ満席で、おひとり女子の鑑賞が多い印象。シネスイッチ銀座は飲食持ち込みを認めているせいか、おもむろに座席でお弁当箱を取り出して食べ始めたりして、もちろん保温タンブラーも持参している女子もいた。かなり慣れてるな〜。…この彼女、終盤寝息たてていましたけれど(^^;;
本作の監督は、俳優でもあるイーサン・ホーク。ちょこっと出演もします。彼が知り合いに紹介されたシーモアバーンスタインに惹かれて撮りはじめた映画で、平たく端折って説明してしまうと、元ピアニストで現ピアノ講師&創作活動されいる性格の良さそうなおじいちゃんの生徒さんへの指導内容と人生を振り返るインタビューに答えるドキュメンタリー。このシーモアさん、もうかなりご高齢なのですが、きちんとした身なりで、歩く足取りもしっかり、ソファーベッドからソファーへのメイキングもひとりでこなせるくらいのなかなかのお若さで、ピアノ経験ない私が言うのもなにですが、教え方も上手。というか、生徒さんとのコミュニケーションの取り方やユーモアが必要以上にも最低限にも思えるという、なんとも巧いさじ加減。朝鮮戦争を経験して心に傷も負っているのだけれど屈折していないし、基本的に素直な返しがあるので心地よくて好かれるおじいちゃんなのだろうなぁと。イーサン・ホーク氏も魅了されたわけで。
繰り返しになりますが、ピアノ経験のない私も今日シーモアさんの教え方を知って、ピアノの魅力がちょっとは理解できた気がします。シーモアさんに教えてもらった方々はもともと上手なのですが、指導後ではまたウットリするようなメロディを奏でたりして、楽器ってちょっとしたコツを習得するとこんなにも印象が変わるんだなぁと小さな驚き。シーモアさんの指導に対応できる生徒さんたちのスペックが凄いというのもあるでしょうが。
…と、感想を書いてはおりますが、所々眠気に襲われたのは間違いありません。通して流れるピアノの音色、繰り返されるメロディにリラックスしての鑑賞でした。ラストはシーモアさんがお客さんとの距離が程よく近い広さの会場でピアノ公演する場面。曲の最後まで演奏を終えますが、その後もう暫くそのまま場面は続きます。シーモアさんが言っていたのですが、音は消えてしまうものです。でも、良いピアノだとすぐに消えることはないと。演奏が終わったあとも消えないもの。それを何と呼びましょうか…余韻?確かに暫く続く余韻を感じて、それが消えた頃に思わず拍手したくなる。そして本編が終了しました。
邦題の、大人のための人生入門…ね。シーモアさんは、人生を美しく演じたい、と話していました。自分を演じる、なんて考えたこともないなぁ。しかも美しく演じる。そういう生き方もあるんだなぁ。かつては猫かぶりで理想像を演じていた頃もあったと思う。当然長続きしない。最近はほとんどが素で、時々必要があって本当の自分より良く見せようと気張る日はあるけれど、普段から意識できるほどの余裕が出来たら考えてみようか…。
上映終了後は、小さな売店にパンフレットを買い求める長蛇の列が出来ていました。先頭は60歳前後のおそらく夫婦で、店員さんのテキパキしていない対応に怒っているのが、通りかかった私にも伝わってくるくらいの明らさまな態度で、とんでもなく大人気ない!購入したパンフレットをそのまま渡されて、袋ないの?とイラついた口調。袋、あるのが当たり前ですかね。取りに行った店員さんに向かって、早くしてよと命令口調。去り際には、バカだからさ、と大きな声で聞こえよがしに…。よくもまぁこの映画を観に来たなと問いたい。この映画にもっとも似つかわしくない大賞を差し上げたい。あ〜っ気分悪っ…と思いながら地下通路を歩いていたら、和光でクリスマスディスプレイ。ここでひとしきり気持ちを落ち着かせて帰宅の途に。ひとりでお茶でもしようかと思ったけれど、あまりにも周囲が賑やかで、気持ちが削がれてしまった。遅い時間だったしね。でもまたシネスイッチ銀座の金曜日レディースデーで映画鑑賞したいと思います。気になる洋画が続々です。