『THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016』5/28 長野ビックハット公演

出来るだけ小さな箱で再会したいという思いで、ちょうど土日開催であった長野ビックハットの公演を選びました。THE YELLOW MONKYの公演は、おそらく97年の紫の炎ツアー以来です。
代々木と比較はできないのですが、長野の盛り上がりは凄かったです。観客は開演からヒートアップで、吉井さんは最初は冷静なように見えましたが、徐々にテンションが上がってツアーオーラスの様相に。ご本人も言っていたけれど、翌日も公演あるのに大丈夫かな?と思えるくらい。
パンチドランカーの頃に一度気持ちが離れてしまった私にとって本当に久々のイエローモンキーLIVEだったのですが、聴き直しもせず未聴曲のチェックもせずに会場入りしました。楽観視していたけれど、やっぱりありましたね、ギャップ。観客の反応に面食らい…と言うのは、男性がものすごく多くて。イエローモンキーのファン層は圧倒的に女性比率が高いという記憶でしたが、いつからこういうことになったのでしょう。LIVEの楽しみ方は人それぞれですが、それでもええっと思わずにはいられないこともいくつか。私の前も両隣も男性同士の連れ合いで、開演から豪華カラオケか?!というくらい、みなさん一緒に歌い続けてどんな曲にも手拍子、薔薇娼婦麗奈でも渾身の手拍子…楽曲に集中できなくなることも…。向こう側のステージの4人の様子はと言うと、アリーナだったため視界には前列の男性陣の頭と肩という障害物が入り、それでも頭と頭の間から奇跡的に唯一見える定位置の吉井さんの鮮明で克明に確認できるその姿と声は、20年前のLIVEからの衰えは一切ないと認定できるもので、ただただ驚きでした。よほどの体力の持ち主か、この日のためにどれほど準備してきたか。おそらくは後者で、その見えない努力をしかと感じて感激しっぱなしでした。本当によく声が出ていて、こんなに歌の巧い人だったっけ?!と惚れ直したり。SPARKでだったか、リズムに合わせて連続して蹴り上げる脚の高さの安定感、50歳目前とは到底思えませんでした。反対に、素敵に年齢を重ねているって感じてときめいたのがMC。話し方が丁寧で優しい、基本的にしっかりとした敬語で観客への敬意が感じられます。それでいて親近感の湧く内容でもあり。大人の対応でユーモアも適切、心地よいことこの上なかったです。私はこれくらいの距離感のコミュニケーションがベストのようで、改めて今の吉井和哉が好きだと感じたし、この人に思い入れていた過去は間違っていなかったと思えたことがとても嬉しかったです。左耳だけに開けたピアスホールも右手に腕時計をつける習慣も吉井和哉から受けた影響は今も残っています。
当日披露された楽曲を収録されているアルバムから書き出すと、

Bunched Birthから
WELCOME TO MY DOGHOUSE
LOVERS ON BACKSTREET

THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIEから
Chelsea Girl
Romantist Taste

EXPERIENCE MOVIEから
SUCK OF LIFE

jaguar hard pain 1944〜1994から
A HENな飴玉
薔薇娼婦麗奈
悲しきASIAN BOY

smileから
Love Communication

FOUR SEASONSから
Tactics
空の青と本当の気持ち

SICKSから
楽園
HOTEL宇宙船
花吹雪
見てないようで見てる

PUNCH DRUNKARDから
球根
BURN

8から
カナリヤ
バラ色の日々

アルバム未収録、ベストアムバム収録 などから
JAM
SPARK
BRILLIANT WORLD
プライマル。
ALRIGHT

…になります。ニューアルバムを引っさげてではないので今回のツアーが過去の楽曲になることは期待できていましたが、本当に満遍なく選曲されていて、でも代名詞とも言えるあの曲もあの曲もあの曲もなく…どうやって選曲したのかな。さぞかし苦渋の選択だったことでしょう。
MCもあいだあいだに。そこは流石、抜群でした。以下、正確ではありませんが…
一番初めの発言は、
こういうことも言わないとね。ただいまーー!
で、みんなで、おかえりーー!と返したのは言うまでもなく。
再結成して俺たちが思う最高のロックンロールを届けます!
下ネタが多いかもしれません。控えめにします。

には、すかさず、えーーーっ!と不満の反応を返すと、
性にうるさい長野県なんでしょ?!むっつりすけべが多いって聞いてるよ?!
とお茶目に返しがあって、会場がいっきに打ち解けた感じ!
長野、記念すべき地方公演初夜です。
いっぱい濡らして帰ってください。

なんて吉井節が炸裂で、あぁ本当にイエローモンキーが帰ってきたんだとボルテージが上がりました。
そのあとも途中で何度か楽曲紹介に合わせてちょっとしたコメントをくれました。
解散から16年経って再結成できたこと、感慨深げに、
夢のようでございます。
って。それから、
今夜もお見受けするところ、様々な年代の方がいらっしゃるようですね。代々木初日で、新しいイエローモンキーは、おそまつ君がおそまつさんになったようなものだと言いましたら、色々なリアクションでした。ぐふっ。
とか。
SUCK OF LIFEでの恒例の吉井さんのマイクとエマギターとの絡みパフォーマンスでは、
ちゃんと見えた?これからはこういう細かい芸を広い会場でも…
(見せていくよ)という意味かな。あれを芸って言うのがツボでした。やっぱりいいなぁ、吉井さん。続くメンバー紹介では、アニーの野性美を賞賛して
16年間山奥で狼と二人で暮らしていた
とか、エマのことを
イエローモンキーの叶姉妹!…やり直し!くはっ!イエローモンキーの…官能小説!ひとりラブホテル街!
とか、サポートのキーボードのつるたにたかしさんのことを
三国義貴はよしたかちゃぁ〜ん、つるたにたかしはつるたかちゃぁ〜ん
と声を裏返し、ヒーセについては、
俺のおじです。出身地も隣でございます。♪俺が北区でこの人が足立区〜育ちは悪いが人柄は良い〜
みたいなことを地声で歌い上げると、
エレカシみたいになっちゃった。♪くぅだらねぇと〜
と続けて爆笑を誘ったり。メンバーのことを
綿棒
とか言ってみたり、
よろちくび
とか、どうしようもないダジャレも飛び出たりして、でもそのダサさが彼のチャームポイントにも感じたり。何よりも終盤のバラ色の日々のイントロ部分での長めのMCがすごく感動的でした。
この16年間離れ離れになった俺たちにもみなさんにも日本にも本当に色々なことがあって今に至ったわけだけれど、イエローモンキーが再結成してこうしてみなさんと会えたことは奇跡です。ここに集まってくれたみなさんに言わなければなりません。イエローモンキーは生涯解散しません。
深刻な話し方に、言わなければならない、にドキッとしたけれど。嬉しい話でした。真剣な口調で、はっきりと言葉を噛みしめるように誠実に宣言してくれた吉井和哉に会場は拍手喝采でした。若気の至りだと許されるギリギリの年代だったころから16年経って、ファンに対して責任を負う発言をする本当の大人のバンドになって。責任、と言っても重苦しいものではなくて、続けて、LIVEの中でイエローモンキーは国宝という発言をしたことをあげて、
これからは、みなさんのなかで、みなさんと俺たちが国の宝になればいいよ。
と、確かな自信と気持ちの余裕を感じさせる発言にとても頼り甲斐を感じて。なんてカッコイイの?!一生ついていくよ〜な気持ちになったところで、伝家の宝刀、殺文句が出ました。
人生を共にしてほしいと思います。一緒に歌ってください。
と始まったバラ色の日々。ここはもちろん大合唱です。私はこの曲は未聴、思い入れがなかったのですが、それでも伝わってくるものが確かにあって感動的でした。それからの悲しきASIAN BOY。これね。感動の中で盛り上がりが最高潮に達して、ステージではかつてと全く遜色ない吉井さんのパフォーマンス、自然と涙が溢れてきました。定位置からステージサイドまで来てくれた目の前の吉井さんが左手で前髪をあげておでこを出しながらカッと目を見開いて瞬きもせず無表情で客席を見る。突き刺さるまっすぐな視線。その瞬間、95年4月に川崎クラブチッタのイベントで恋焦がれ続けたイエローモンキーをようやく初めて目の前にした時、無機質な表情の吉井さんから注がれた視線があまりにも近すぎて思わず目を逸らしてしまったという甘酸っぱい思い出が鮮やかによみがえり、20年以上経ってもまたこうしてイエローモンキーのLIVEが行われていることに胸がいっぱいになって涙が止まらず。最近本当に涙もろい。そのあともLIVEは続いて最後の最後、締めのMCも完璧でした。優しく、
うん、最高だった。
って。もちろんそれで終わらず、
最高の初夜だった。
明日歩けるかな。

って、その場にいるみんなの心を一瞬でさらって笑わせる。そしてしっかりと締めることも忘れない。
これからもTHE YELLOW MONKYをよろしくお願いします。今回、THE YELLOW MONKY SUPER としていますが、SUPERというのはみなさんのことです。俺たちは、THE YELLOW MONKY の曲を演奏する人たちで、みなさんはTHE YELLOW MONKY の曲を感じる人たちです。
会場全体が大きな拍手で包まれて、始まった最後の楽曲はJAMでした。
久々の再会は広くない会場にこだわって長野公演を選びました。そもそもイエローモンキーから気持ちが離れてしまった理由のひとつは、彼らのLIVEが西武球場で行われた時、彼らと同じ場にいながらとても遠い存在だと感じてしまったこと。川崎クラブチッタの手の届くくらいの距離から始まったせいもあり、地方の市民会館、NHKホール、武道館までは箱が大きくなることを共に喜べたのに、豆粒にしか見えないほど距離のある会場までなったときは寂しさの気持ちが上回ってしまった。でも今回のLIVEを経験させてもらって、広いところでももう大丈夫って思えました。もしもまた東京ドームでLIVEができたなら、今度は必ず行きたい。今の彼らにドーム公演は実現可能って感じています。↑に、あの曲もあの曲もあの曲なくて残念だったと書きましたが、リクエストは、嘆くなり我が夜のFantasy、赤裸々Go!Go!Go!、ROCK STAR、Foxy Blue Love、熱帯夜…もっとあるけれどキリないのでこの記事はこの辺りで。